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2012年7月19日 (木)

サルマンの死

ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)の映画公開版では、白の魔術師サルマンの末期が描かれていません。実は、拡張版DVDでは、彼の死ぬところがしっかりと描かれています。廉価でレンタルできますので、見ていない方は、ぜひごらんください。

サルマンの死ぬところ、映画は原作とはぜんぜん違います。私は、映画を愛する者ですが、この点などは、とても残念に思っています。サルマンの敗北は、もっと精神的なものでなければ、トールキンの思いが生かされないのでは。武力でも魔法力でも、まったく無力なフロドに、サルマンは人格面で完膚なきまでに敗北する。これは小説の重要な主題ではなかったでしょうか。

原作の場合、自分一人では指輪を捨てられなかったフロドは、悪魔サウロンに勝ったわけではありません。しかし、魔術師サルマンには完璧な勝利をおさめます。

映画では、フロドはゴラムに体当たりすることで「原作より積極的に」サウロンに勝ち(ここも違和感があります)、サルマンはもっとあっさりとやっつけてしまいます。

原作と映像は違います。ピーター・ジャクソン監督は、深謀遠慮の末、映像的効果を大切にするために、こうした変奏を加えたのでしょう。

いっぽうで、この物語の文学性をたいせつにする私など、映画を見終わった後、やはり原作に回帰する気持ちを強く持つ次第です。

坂井

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