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2013年9月

2013年9月30日 (月)

人生が終はつちまつた(自歌自註)

人生が終はつちまつた燃えカスが歌詠むといふ。笑へ!アルパカ 
「ふらんす堂短歌日記」2013.9.11 坂井修一

ふらんす堂のホームページで、今年1年、「短歌日記」をWWWで連載している。

http://furansudo.com/

思ったより多くの人がみてくださっているようで、特に若い人の反応を聞く。

この作など、ちょっと自棄になったような歌かと思う。まあ、今の歌詠みは、芸術院会員だって、投稿家だって、世間ではこんなふうに思われていることだろう。

昨日の土曜日、私は短歌のために丸一日を使い、35首を作った。注文生産なので原稿料はいただけるが、それで生活できるような金額ではない。歌人といっても、生活の糧は別の仕事や選歌やカルチャーのレッスンで得るのであり、作歌活動ではないのである。その選歌やカルチャーもこれからどんどん需要がなくなっていくだろう。

短歌は、今世紀半ばで滅びるかもしれない。自分が生きている間は滅びないことを祈っているが。

(坂井)

2013年9月10日 (火)

スタヴローギン(自歌自註)

おもひみよネットのかなたしんしんと一万人のスタヴローギン 『縄文の森、弥生の花』坂井修一

この夏に出した歌集の巻頭歌で、さっそく俳人の長谷川櫂さんが読売新聞「四季」の欄でとりあげてくださった。

「今やインターネットは蜘蛛(くも)の網のように地球をおおうが、無数の結び目にいる人間は姿が見えない。その果てしない闇黒(あんこく)に思いをはせる歌。スタヴローギンはドストエフスキーの長編小説『悪霊』の主人公。いわば真空のような虚無主義者。」(「読売新聞」7月25日朝刊)

今日、インターネットは日常生活の大きな部分を占めるようになったが、サイバーテロや標的型攻撃の舞台でもある。テロや詐欺のように実利的な犯罪行為をしかける人物の意図は読みやすいが、スタヴローギンのように複雑でカルト的なニヒリストのそれは読みにくく、影響力は深刻である。1万人のスタヴローギンが同時に引き起こす100万件のネチャーエフ事件。そんなものを想像してみれば、おのずから慄然とするものがあろう。

この歌については、私自身の著作『知っておきたい 情報社会の安全知識』(岩波ジュニア新書)などもご参照いただければ幸いだ。

(坂井)

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